カメラを止めるな 感想 レビュー

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カメラを止めるな!が面白くない人は感性が貧相?作り手視点の感想

こんにちは!星乃(@madoka_hoshino)です。

2018年話題性ナンバーワンともいえる映画、「カメラを止めるな!」を観に行ってきました。

この映画、わたしの周りの人も絶賛していて、本当に評価がいい。
近場の映画館となかなか日程や時間帯が合わず、ようやくの鑑賞です。

この「カメラを止めるな!」は評判にたがわずめっちゃ面白かった!
Twitterでのネタバレなしの感想がああなるのも納得(笑)

ですが、面白くなかったという意見がちらほら見かけます。

何で面白くないのか?その理由と、そして元漫画家としてモノづくりに携わってきた人間として、作品作りの視点からこの「カメラを止めるな!」の映画の感想を書いてみたいと思います。(がっつりネタバレだと思うので、ご注意ください)

評論したいタイプは面白くないかもしれない

カメラを止めるな!は、観終わってみればシンプルな作りとなっています。前半のホラー部分の謎や伏線を、後半のメイキング部分で回収していく。言い換えれば、それだけの作品です。

前半の、ある意味雑なB級ホラーみたいな映像が、後半のメイキングで笑いに変換しているところがこの映画の魅力なのですが、壮大なオチや、複雑な伏線が好きな人は少々物足りないと思うかもしれません。こんなもんなの?って思うのかもね。

「恐怖→笑い」への変換を「同じ素材で表現した」のが「カメラを止めるな!」の見事な部分なのです。ですが、そこが感じられないと、チープさだけが感想として残るかもしれません。実際、凝った画面つくりをしてるわけではないですしね。

予算が少ないので、映画の規模(内容)も全然大きくありませんので、ドラマチックさはないです。

どちらかといえば、もっと小さく、観終わった後、ほっこり幸せな気分にさせてくれる、「小さな幸せ」を与えてくれる映画なのです。

なので、ガッツリ評論したい派の人、斜に構えた人、壮大なオチがあると思っていた人、なんかは評価が低いんじゃないかなと思いますね。

カメラを止めるな!は、余計なことを考えずに、素直に楽しめる人には大絶賛の作品なのです。

作り手(クリエイター)視点からは褒めるべきところが多すぎる映画

わたしは一応クリエイターの端くれだったので、この作品を「作り手の視点」でも鑑賞していました。純粋に面白かったのもありますが、わたしが「カメラを止めるな!」を絶賛する理由は、この「作り手視点」からが大きいかもしれません。

わたしが作り手視点から見るすごいと思う部分

低予算だからこそのクオリティーの高さとなっている

恐怖から笑への変換が秀逸

●どこか欠けた人々がピースとなって完全体になる

●家族愛やそれぞれのキャラクターの成長物語となっている

これらの要素が、伏線を全部回収しながらも上手にまじりあって、なんとも後味の良い映画となっているのです。ほっこりとしたハッピーエンドで終わるのも素晴らしい。

カメラを止めるな!はいろいろな見方があるので、各サイトでの感想巡りも面白かったです。それだけ、よくできた映画ということですね。一つ一つ解説していこうと思います。

カメラを止めるな!クリエイター視点から見たすごい部分

低予算だからこそのクオリティーの高さとなっている

カメラを止めるな!の予算はなんと300万円です。もともとインディーズ映画ですから納得です。

この映画の功績は、「面白い映画に予算は関係ない」と証明したことでしょう。ゾンビものとして大きな予算をかけて制作された「アイアムアヒーロー」も面白い作品でしたが、たとえ予算がなくても面白い作品は作れる。

作り手視点から見ると、このクオリティーの高さは、むしろ予算に制限があったからこそ実現したと思うのですね。予算がないからこそ、アイディアやストーリーを練れるだけ練った。できないことがあるからこそ、工夫に工夫を重ねた。そんな作品なのです。

もし、潤沢な資金があったら、あの規模で、あの展開の映画は作ってないと思うんですよ。もっとほかのストーリーになったはず。

予算が少ないからこそのアイディアで、予算が少ないからこその練られたストーリーなのです。

膨大な予算をかけた駄作も多くある中、少ない予算でクオリティーの高い作品を作り上げた術は見事としかいいようがありません。

恐怖から笑いへの変換が秀逸

映画を見た人はわかるのですが、最初は若干スプラッタが入ったホラーゾンビものとして始まります。映像は荒いわ、カメラ視点も甘いわ、画面酔いしそうになるわ(これにはネタバレがあるのですが)、まさしく「学生が作ったB級映画」というノリです。

ワンカットで作られる映像も、B級ホラーそのもの。わたしは本当に前情報なしで行ったので、メイキングの映画とは知らなかったので、このノリが続いたままどんでん返しがあるのかなと思っていました。

なので、わりと普通にホラーものとして見れていました。っていうか、がちがちのホラーものはわたしは苦手なので、あの雑な作りのホラーでも、けっこう怖かったです笑

何が怖いかって言うと、音声の人がずっと座ったままとか、監督はなぜかゾンビに襲われないとか、よくよく見ればツッコミどころ満載のつくりです。

それすらも、B級映画のつくりゆえに、何かの伏線なのかと思えてしまったところです。だから、変な間とか、変なやり取りや変なカメラワークとかも、かえって怖かった。

そこからの後半戦で、あ、これはメイキング映画なのか、と知ってから、その恐怖が解放されて、笑いの部分が一層笑えたということです。そして、同じシーン、前半で恐怖を感じていたシーンが、すべて、大きな笑いに上手に変換されている。

これもクリエイター視点で見れば、うまい!と思わせる要素です。ある意味、内容もありきたりのホラーであることも、見ている方はストレスだったでしょう。

前半、溜めに溜めたストレスが、後半になって気持ちよく解消される。これがこの映画が絶賛される要素の一つだと思います。

どこか欠けた人々がピースとなって完全体になる

カメラを止めるな!の登場人物は、全員どこか欠点がある人ばかりです。

主人公の監督(日暮隆之:濱津隆之)は、よくもわるくも職業監督という感じで、妥協ばかりして作品を作ってきた人。

その娘(日暮真央役:真魚)は、作品にのめりこむあまり、周りとの協調性が皆無という性格。

嫁さん(日暮晴美役:しゅはまはるみ)は役にのめりこみすぎて、勝手なことをやって干された女優。

ヒロインの女優(​松本逢花役:秋山ゆずき)は、プライドの高さゆえに、全然本気でやろうとしていない。

男優(神谷和明役:長屋和彰)は真面目過ぎゆえに、口を出してきてさらに融通が利かない。

さらにアル中のカメラマン(細田学:細井学)や硬水に弱い録音の人(山越俊助役:山﨑俊太郎)、気が弱い助監督(山ノ内洋役:市原洋)などなど、みんなどこかしら「欠けている」キャラクターばかりです。

その癖のある登場人物たちは、当然作品つくりの最初の方はバラバラです。みんながみんな、好き勝手なことを言って、好き勝手なことをします。

女優はことあるごとに「事務所がNGで~」といって、体を張った演技を断るし、男優は脚本や展開にケチをつけてくる。

硬水を準備してなかったことをスタッフにネチネチと文句言う音声役の人。

全然まとまってない中、撮影は始まってしまうのですが、監督役とメイク役の二人が現場に到着できないとなるアクシデントがあってからは、意を決した監督(と嫁さん)がその役に。

そこからのすべてのアクシデントを出演者やスタッフのほぼアドリブでクリアしていく中で、徐々に一致団結していく。最後のピラミッドのシーンでは、いがみ合っていた男性出演者たちが一致団結して総出で踏ん張る姿が笑いを誘っていました。

欠けたキャラクターたちが、一致団結して一つの作品を作り上げる。
欠けたピースが合わさって、一つの素晴らしい作品を作り上げた。

これが読後感を非常にさわやかにしてくれる要素だと思います。さすがに泣いたりはしませんでしたが、ちょっとジーンときたのは確かです。

家族愛やそれぞれのキャラクターの成長物語となっている

ラストは、この物語が登場人物たちの成長物語になっているうえに、家族愛まで表現しているところです。

この「ゾンビもの生中継ワンカット」という無茶ぶりな映画を作っていく中で、各キャラクターたちが成長を見せます。

妥協ばかりしてきた監督は、最後の最後で妥協せずに作品を作り上げます。

娘はそのこだわりが功を奏して、作品の窮地を救います。

ヒロインは本気の演技をし、男優はこだわっている余裕すらもない状況にただ現場に合わせていく術を身に着けます。

それぞれがそれぞれの頑張りを見せていく。

そして家族愛。

アル中のカメラマンが子供の写真を見せるところも伏線なのですが、カメラを持って肩車されている幼き娘と、同じ構図となってラストシーンを迎えます。この構図も素晴らしい。

最後にカメラを持つのは、監督ではなくその娘で、監督は幼き頃にそうしたように、娘を肩車して踏ん張るのです。

家族愛でもあり、映画が大好きな娘へのバトンタッチ(世代交代)にも感じられる、優秀過ぎるラストです。

カメラを止めるな!はクリエイター視点から見ても、本当にいろいろな要素がバランスよくミックスしたクオリティの高い作品なのです。エンディングの曲がポップで明るい雰囲気で終わるのも良いですね。

山本真由美さんが歌う「keep Rolling」という曲で、ご本人出演の踊ってみた動画もあります。さわやかでほっこりするカメラを止めるな!の主題歌にぴったりなのでぜひ聞いてみてください。

これ、映画の人気を受けて、急遽シングル化されたみたいですよ!

まとめ

カメラを止めるな!は、観客視点からも楽しく見ることができて、クリエイター視点からもそのクオリティーの高さに驚くことができる、一粒で二度おいしい作品です。

何より、怖がって笑えて、ラストはほっこりとした幸せな気分にさせてくれる、そんな秀逸な映画なのです。見たことがない人はぜひとも映画館に観に行ってほしいですね。

ホラー映画(というよりもスプラッタもの)が嫌いな人は最初のゾンビ映画部分でもダメかもしれませんが、それでもオチを知っていれば全然怖くないかもしれません笑。映画館で見れなかった人もぜひテレビでもいいので見てほしい作品です。

 

 

 

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